二回目、ZINEフェスの出展:準備は前回以上にボロボロ、それでも成果は前回を上回った記録

2026/09/27

ZINE

この記事について

9月26日、ZINEフェス東京に出展をしました。前回の「ZINEフェス文芸」に出展した反省をふまえ、余裕をもって準備を進めたはずでした。ところが結論からいうと、前回以上の綱渡りで、準備はボロボロでした。それでも、成果は前回を上回りました。



これは「ZINEフェス二回目の出展レポート」です。初出展のレポートは、こちらからご覧ください。(https://www.mangakaissei.com/2026/08/zine.html)


帰り道で決めた「次こそ計画的に」

8月2日のZINEフェス文芸を終えた帰り道、わたしは最寄りの浜松町駅ではなく、一つ先の駅まで歩きました。頭の中では「こんなはずではなかった……」と思いながら、トボトボと歩いていました。手に取ってもらえた冊数のことではありません。やろうと思っていたことの1割もできていないと感じたのです。

歩きながら考えました。「次回9月26日のZINEフェス東京までは、お盆休みもシルバーウィークもあって、時間はたっぷりある。計画的にやれば、必ず今回よりよい状態で出展できる」と。


出展までの7週間を、1週間ずつのTODOに分けた

まず、出展までのおよそ7週間を、1週間ごとのTODOに分けて、手帳に書き残しました。大まかには次のとおりです。

・1週目:出展作品の初稿を書き上げる
・2〜4週目:平日は可能な限り、週末に集中して制作する
・出展の2週間前まで:印刷を終える
・最後の1週間:最終仕上げにあてる

このとおりにやればうまくいく。そう確信したわたしでしたが……。


10作品の初稿は書けた。でも、欲が出てしまった

今回の目標は「10作品のワンシートZINEを出す」ことでした。わたしのZINEは、表紙を含めて8ページです。表面は1,500〜2,000字ほどのエッセイで完結し、裏面には写真やイラストが入ります。文字数は表面ほどではありませんが、分量としては同じくらいです。

少し脱線します。学生のころは、作文を含めて文章を書くのがとにかく苦手でした。いまは書くこと自体に問題はありません。ただ、書いた文章を削ぎ落とし、どの順番で構成し直すかに時間がかかるので、やはり苦手意識は残っています。それでも、ZINEなら好きなテーマが、あふれるほど書きたくなります。会社の報告書に比べたら、書く楽しさははかりしれません。

最初の1週間で、10作品の表面と裏面の初稿を書き上げることはできました。ところが、ここで欲が出ました。久しぶりの友人・知人と会う約束がたくさん入り、そのたびに「非売品のZINE」を作って持っていったのです。みなさんには喜ばれましたが、当初のスケジュールは、あっという間に破綻しました。


完成した新作は2作。前々日に入稿、半徹夜でフリーペーパー

結果的に、ZINEフェス東京までに完成した新作は2作品でした。前々日に入稿し、前日に印刷物を受け取って、切って折る作業をしました。さらに、半徹夜でフリーペーパーを仕上げ、当日は会場がある浅草駅近くのコンビニで100部を印刷しました。

天気予報は雨でしたが、会場に向かうときには、奇跡的に雨がやんでいました。これは幸いでした。


集合と設営:前回と同じく、あっという間

今回の集合は朝10時でした。ZINEフェスでは、初参加の人に早めに集まってもらい、事前説明を丁寧に行っているようです。すでに到着していた出展者の方々は、パイプ椅子を各自でとって壁際に座り、運営スタッフの指示を待っていました。

テーブルと椅子の設置は、スタッフの分かりやすい説明のもと、出展者同士で4人1組になって大きなテーブルを運びました。前回のZINEフェス文芸と同じく、あっという間に終わりました。


ブースは前回よりましに。でも、結局また折っていた

開場は12時、設営は10時半ごろに始まり、わたしのブースは今回も10分足らずで終わりました。前回の反省から、ZINEを立てかけるアクリルスタンド、「高さ」を出すための大きめのワイヤーネット、自宅にあった立てかけ用の什器を持っていきました。おかげで、ずいぶんましな見た目になったと思います。ただ、ほかのブースは折りたたみ式の雛壇スタンドや、POPを立てるスタンドポールなどを備えていて、とても華やかに見えました。

11時前に設営が終わり、開場まで1時間ありました。わたしは前回と同じく、懲りずにワンシートZINEとフリーペーパーを切ったり折ったりし始めました。「まったく反省の色が見えないな」と心の中で思いつつも、前回と違って、ある程度納得できる中身を用意して臨めたので、「次に出展するときこそ、スケジュールどおりに進めるぞ」と思ったのです。結局、すべての作業が終わったのは、12時の開場から1時間半後でした(わたし視点の出展ブース裏側。ZINEフェスのテーブルは、奥行き90cmもあるのが救い)。


今回持参したのは、新作2作と、前月のZINEフェスでも出展した4作品、合計6作品です。

・【新作】他人のカップ麺を勝手に補充した話
・【新作】8ヶ月サンダルで通勤した話
・食後のお皿はいつ洗えばいいのか?
・ラーメンは、入り口にすぎない。
・選ばされていた歌
・電車でイスとりゲーム




最初の1冊は40分後。売れたのは15冊

最初の1冊が売れたのは、12時の開場から40分ほどたったころです。前回は開場から3時間後だったので、「これは幸先がいいぞ」と思いました。ところが、最終的に売れたのは15冊で、前回より1冊多いだけでした。

前回の記事に、こう書きました。

売れた数は結果にすぎません。わたしはZINEに限らず、自分が作るモノやサービスが誰かの心の糧になれば本望だと思っています。リアルイベントで誰も手に取らなければ、それは求められていなかったという結果です。一人でも手に取ってもらえて、それが心の糧になったなら、それで十分なのです。

……とは書きましたが、今回の結果を前に、一瞬、「これは求められていないということか?」という考えがよぎりました。


足りなかったのは、中身を読む前に「読みたい」と思ってもらう力

確かに、求められていない面はあるのかもしれません。ただ、それ以上に痛感したのは、圧倒的な認知度の不足でした。これは有名か無名かという話でも、単純に宣伝が足りないという話でもありません。足りなかったのは、中身を読む前に「読みたい」と思ってもらう力です。

わたしのブースは、ぱっと見ただけでは、何を扱っているのか伝わりませんでした。しかもワンシートZINEは、文庫と同じA6サイズです。テーブルの近くまで寄らないと、表紙に何が書いてあるかも目に入りません。本の即売会という場と、そこに来る人たちを少し想像すれば、遠くからでも目に入るポスターを掲げる、テーブルに近づいた人に読む前から内容が伝わるようPOPを置く、といった工夫ができたはずです。これは街中の書店や雑貨店と同じで、手に取る前にいかに内容が伝わるかに、心血を注ぐ必要があります。

冷静に考えると、仕事では当たり前に考えるこうした視点を、作り手・出展者になり、作ってばかりいると、失ってしまうのだと思いました。かっこよく言えば、作ったZINEと、作り手である自分を、どうプロデュースするかも考える必要があるということです。

「ZINEはビジネスとは違うし、売り上げを求めているわけではない」という考え方もあるでしょう。わたし自身も、「一人でも手に取ってもらえて、それが心の糧になったなら、それで十分」と書きました。ただ、裏を返せば、プロデュースの工夫や努力が足りないせいで、本来は心の糧にしてもらえるはずだった人に届かない、ということにもなります。ZINEといえども、プロデュースに力を入れる必要があると思いました。


「これぜんぶ、6冊ください」

売れた15冊の話に戻ります。今回も、記憶に残る出会いがいくつかありました。

16時ごろでしょうか。こちらがすすめるまでもなく、ブースの試し読み用ZINEを手に取って、じっくり読んでいる方がいました。1冊読み終えると、もう1冊を手に取り、また真剣に読んでいます。2冊を読み終えたところで、わたしから声をかけました。

「どうぞ、全部読んでいただいてもいいですし、終了まであと1時間あるので、ほかのブースをご覧になってからでもかまいません。あ、これフリーペーパーです」

遠回しですが、「納得するまで、購入は決めなくていいですよ」という気持ちでした。するとその方が、一言。

「これぜんぶ、6冊ください」

わたしは最初、「6作品それぞれを、6冊ずつ」と誤解してしまいました。「えっ、どういうこと!? 6作品を6冊ずつ、合計36部ですか!?」と耳を疑い、聞き返しました。もちろん勘違いで、「ここにある6作品を、1冊ずつ、合計6冊」ということでした。

6冊全部のまとめ買いは想定していませんでした。今回は、2冊購入の方には、1冊300円のところ2冊500円で販売していました。6冊ということは、2冊500円が3セットで……。簡単な算数なのに、iPhoneの電卓アプリを使ってしまう始末でした(苦笑)。

5,000円札を受け取り、お釣りを渡すときに、思わず聞いてしまいました。

「どうして、6冊購入しようと思ったのですか?」と。

その方は、「食後のお皿はいつ洗えばいいのか?」に共感したこと、そして2冊を試し読みして、ほかの4冊もきっと同じくらい刺さる内容だと思ったから、と教えてくれました(画像はこのときの漫画日記)。

うれしさのあまり、隣のブースの方に「全部買ってくれた人がいました〜」と報告してしまいました。なお、前回に続いて今回も、近くのブースの方からは差し入れをいただくなど、とても親切にしていただきました。


二回のZINEフェスでの反省点:フリーペーパーの配り方

今回は、フリーペーパーを100部持っていきました。



15時半ごろにすべてなくなりましたが、ブースで立ち止まった人や試し読みした人だけでなく、ブースの前をゆっくり通り過ぎる人にも配っていました。しかし結果的に、通り過ぎる人には、渡さなくてもよかったと思います。

理由は、チラシやティッシュ配りのような「数を撃てば当たる」ものではないからです。むしろ、立ち止まって興味をひかれたものの、何らかの理由で立ち去った人に渡すほうがよいと思いました。そのほうが、イベントの開催時間内に、もう一度立ち寄ってくれるかもしれません。思い出してもらうため、あるいはイベント後にも思い出してもらうために、渡すのです。

これは作り手の完全なエゴかもしれませんが、フリーペーパーにはかなり力を入れています。来場する人の中の「この人に届いてほしい」を想像し、少しあおり気味のタイトルの「あなたも表現(ZINE)したいんじゃないの?」と名づけたものを作りました。次回以降もフリーペーパーは作りますが、渡す方法は考えを改めようと思います(もちろん、興味をもって持っていってもらう分には大歓迎です)。


収支:赤字は前回より小さくなりました

最後に収支です。金額はすべて税込です。

【売上】
・2冊セット:500円 × 6組 = 3,000円
・単品:300円 × 3冊 = 900円
売上合計:3,900円

【費用】
・ZINEの印刷代:約100円 × 新作2作 × 20部 = 約4,000円
 (A3の厚手の用紙、両面印刷で片面カラー。前月の4作品は在庫を持参したので、新たな印刷は新作のみ)
・出展料:5,200円
・フリーペーパー:20円 × 100枚 = 2,000円
 (コンビニで両面モノクロ印刷)
・什器(アクリルスタンドなど):約2,000円
費用合計:約13,200円

【収支】
・3,900円 − 13,200円 = 約マイナス9,300円

前回は約マイナス11,000円だったので、赤字は少し縮まりました。ただ、前回の収支報告と同じく、交通費や制作費は上の計算に含めていないので、実際の赤字は、もう少し大きくなります。素材集めや執筆の時間、ワンシートZINEにするために切ったり折ったりする時間も含まれていません。

プライスレスな価値:アウトプットを出すという目的

それでも、わたしにとって、プライスレスな価値が1つあります。前回もお伝えした、わたしの目的の一つ、アウトプットを出すことそのものです。8月に4作、9月に2作を、イベントで世に出し、実際に手に取ってもらうことができました。目的は達成です。(イベントという外からの締め切りがないと完成させられないのか、という甘えはさておき)。

そういえば、高円寺に「作業目標を決めて、達成するまで集中できる」カフェがありましたね。わたしにとっての出展は、それのイベント版なのかもしれません。


「結局、ZINEって何なんですか?」への答え(備忘録)

今回、ブースで立ち読みしてくださった方に、「結局、ZINEって何なんですか?」と聞かれました。わたしなりの答えは、すでに持っていました。ただ、その方ご自身の考えも聞きたくて、つい「何だと思いますか?」とオウム返しをしてしまいました。すると、わたしが答えを持っていないと思われたのか、その方は立ち去ってしまいました。

次に同じ質問をされたときは、淡々と、こう伝えたいと思います。忘れないよう、備忘録がわりに書いておきます。

ZINEは、自己表現の手段の一つ。
多くは本の形式で、
その中身には、自分の偏愛がつめこまれている。

「ZINEです」と名乗ることには、意味があると考えています。商業出版や同人誌、自費出版との違いを聞かれたときに、「ZINE」というジャンルを名乗ることで、線引きができるからです。書店に流通している本ではなく、二次創作の同人誌でもなく、商業出版並みの内容量と装丁をめざす自費出版でもない。

「ZINEです」と答えれば、それらとは違うことが伝わると思っています。

もう少しじっくり説明できるなら、「個人や少人数のグループが、営利を目的とせず、自由にテーマや形式を決めて作る自主制作の小冊子」だと思います。ただ、印刷所でしっかり製本されたZINEもあります。仕様や作りで線引きするのではなく、概念で区切られていることを説明するほうが、個人的にはしっくりきています。

ZINEを作ること、ZINEの販売イベントに出ること、その目的は人それぞれです。共通しているのは、「自分が好きだと思っている『偏愛』を発信する」ことだと思います。また、ZINEを求めに来る人の中には、「最近、流行っているから」という理由の人もいます。それは裏を返せば好奇心によるもので、潜在的には、「自分もまだ知らない、見ぬ偏愛との出会い」を期待して来ているのではないでしょうか。そう思うのは、わたしだけでしょうか。

以上で、二回目の出展レポートを終わります。出展を検討している方の反面教師になれば幸いです。初出展のレポートとあわせて、ご覧ください。(余談ですが、ZINEフェス東京の会場は浅草寺のすぐ近く、というのがいいですね。)





関連リンク・参考記事

漫画家一星:初めてZINEフェスに出展した日のこと

ZINEフェスについて
・ZINEフェス 公式サイト(全国各地で随時開催。詳細は公式サイトで)

参考記事:初出展の方のnote
・【ZINEフェス東京】初出展の感想と気づきをまとめてみた。

・ZINEフェス東京 覚え書き|初出展で富士そばZINEを21冊頒布して、考えたこと

お客さんとして参加した方のnote
・暇だったのでZINEフェス東京9/26に行った。感想および懸念。

・ZINEフェス東京に行ってみた

次の出展予定

・文学フリマ東京43 公式サイト(わたしは11月8日の東京に出店予定です)

「作業目標を決めて、達成するまで集中できる」カフェ

高円寺にある「原稿執筆カフェ」公式サイト


おすすめマンガ

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